サイバー攻撃とフロンティアAI

Published: Oct 21, 2026 by ONIC Japan

2026年はAIがいよいよ本格的に活用できるようになり、AI技術のデュアルユースが一段と活発化しています。

ポジティブな結果

2026年4月にAnthropic社が公表したProject Glasswing (https://www.anthropic.com/glasswing) の取り組み以降、Project Glasswingで利用したフロンティアAI(当時は、Mythos Preview)で多くの脆弱性を検出して大きな話題になりました。しかしながら、検出した脆弱性の数は多かったものの、その修正はなかなか進まないという結果になっていました。これを受けて、小さな不具合も脆弱性とカウントしてのではないかという意見も数多く出ていたことは事実です。しかし、実際に修正される脆弱性の数は飛躍的に増えています。例えば、Patch Tuesdayで知られるMicrosoft社パッチ提供では、脆弱性修正件数は2026年9月時点で2025年と比較すると2倍以上に増えています。(https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/26/i/the-september-2026-security-update-review.html) これは、各社が自身でフロンティアAIを活用して、自身で脆弱性を検出して、自身で修正していると説明している企業もあり、ポジティブなAIの利用方法になっています。

ネガティブな結果

一方で9月以降、サイバー攻撃被害や情報漏洩事案の公表が後を経ちません。2026年10月20日現在で約100の組織から被害が公表されています。 攻撃の起点となる攻撃方法はほんと公表されていませんが、何らかの弱点を悪用されて被害に遭っていると想定できます。この短期間にこれだけの攻撃数の増加と公表される被害数の多さには経験がありません。このスピード感、ボリュームから、フロンティアAIを活用した攻撃ではないのかと、簡単に想像できるところです。 また、JPCERT/CCが公表した注意喚起にあったIPアドレスから、日本を標的にしているランサムウェアグループも判明し、その攻撃対象は約400組織にのぼり、By Nameでリストされているとのことです。(https://www.kelacyber.com/ja/resources/webinars/qilin-ransomware-japan-attacker-infrastructure/)

能動的サイバー防御法は?

民間企業でこれだけの被害が出たこともあり、自由民主党も政府にサイバー攻撃対処を提言しました。 一方で10月から施行された能動的サイバー防御法において、警察庁や防衛省によるアクセスと無害化が実施可能になりましたが、まだ準備が整っていないのか、重要インフラへの攻撃ではないためか、まだ具体的な動きは見えてきていません。早期の積極的な防衛を期待したいところではあります。

それでは対策は?

まず、基本に忠実であることです。個人ではパスワードは使い回しをせずに、パスワード設定も複雑にする必要があります。国家サイバー統括室のガイドラインでは、意味のない文字列で10文字以上(https://www.cyber.go.jp/pr/column/20220705.html)となっていますが、2026年現在では16文字以上に設定する必要があり、個人的にはいつも、大文字小文字のアルファベットと数字、記号を組み合わせて24文字にしています。また、組織の保護ではこれまでの境界セキュリティの強化、セグメンテーションやトラフィック制御、多要素認証やパスキーの利用、権限の最小化、ゼロトラストの導入、EDRやNDR、XDRの導入、運用監視、AI SOCの導入など、さらにモダン化する良い機会ではないでしょうか。

アンダーグラウンドのダークウェブの情報をインテリジェンスとして活用することも重要で、漏洩しているクレデンシャル情報やcookieなどがあればアカウントをリセットする、これらが販売されていればTake Downするなどの対処が可能です。

また、攻撃の起点となる脆弱性への対応も重要です。インターネットに露出している脆弱性は、攻撃を待っているだけの状態で、攻撃者がそれを見つければすぐに攻撃の可能性を試します。それを試して成功すればあとは攻撃者の思うがまま、全てのデータが流出し、最悪ランサムウェアに暗号化されてデータを失ってしまいます。つまり、脆弱性や攻撃機会をインターネットに露出しているということは、攻撃される順番待ちをしている状態と言えます。それは明日かもしれないし、一ヶ月後かもしれません。でもそのままでは攻撃はいつか開始されます。その時に被害に遭わないように、日々準備しておくことが肝要です。


インターネットを使って生活が便利になり、個人でも企業でも活用することは当たり前のインフラになっていますが、安全に使うことが前提だと思います。 安全に使うために自身で安全確保することは当然のことと理解して、まずはできる対策から始めていただきたいと切に願ってます。

ONIC実行委員 橋本 賢一郎

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