SDNをきっかけに見えたエンジニア育成の未来

Published: Jul 11, 2025 by ONIC Japan

SDN 登場から スキルギャップの危機感 が顕在化してエンジニアの学び場は、危機感を出発点に、クラウドネイティブ、DevOps、そして生成 AI・AIOps へと舞台を移してきました。ここでは、Interop Tokyo で蓄積された育成ノウハウと市場動向をまとめて、ONICが提供する次のフィールドへと展望します。

SDN 技術が商用化して2017〜2019 年は「人が足りない」という切迫感から、OJT やCTF など学びそのものを試行錯誤するフェーズでした。現場はネットワークとアプリの境界を越えるクロススキルを求め、エンジニアは自らの専門領域を横に拡張することで生存戦略を立てて来ました。

2020 年に入ると、IaC (Infra as Code) やDevOps が一気に浸透し、「コードでインフラを操る」ことが当たり前に。ここで学び方は大きく転換します。ツールやフレームワークを追うだけではなく、 自動化を前提に設計する思考 が育成カリキュラムの中心に据えられました。クラウドネイティブが本格化した 2021 年には、可観測性と API 連携が運用負荷を大幅に下げ、学習テーマは「観測・分析・改善」の高速ループをどう回すかにシフトします。

さらに 2023 年以降は、AI/ML とインテントベースネットワークが注目を集め、「どの技術を、どこで、いつ使うべきか」という設計判断力が問われるようになりました。単純なツール習得では差別化できず、エンジニアにはT字型(専門+隣接領域)を超えて、π字型(コード実装 × AI活用 × ビジネス指標)を横断するスキルが求められています。こうした背景には、企業の投資先が SDN 実証からクラウド拡張、そして可観測性・AIOps へと移った資金の流れがあり、「どこにおカネが集まるか」を読むことが育成戦略でも不可欠になっています。

そして 2025 年、生成AI とAIOps が現場で稼働し始め、常時可視化と予兆検知が当たり前の世界が見えてきました。エンジニアは「障害を 起こさない ための運用」を担い、LLM を使ったリアルタイムな根本原因分析(RCA)を武器に、ビジネス価値を直接押し上げるポジションへ進化します。

こうしたテクノロジーの連続的進化の先にONICが掲げるのは、「発見と挑戦が止まらない学習ループ」。SDN ショックをチャンスに変えたように、生成AI 時代を楽しんだ人が先に行ける。そんなメッセージを胸に、次の一手を描くカンファレンスを目指しています。

ONIC 2025 の参加登録や最新ニュースは公式サイトで随時更新中。新しい発見を! 会場でお会いしましょう。

参考:Interop Tokyo カンファレンス エンジニア育成セッションのテーマ変化

トピック 育成フォーカス
2017 SDN 時代の人材不足 ネットワーク×アプリの クロススキルが急務
2018 スキル標準とアップスキリング OJT&フルスタック化で現場力を底上げ
2019 ハードニング & CTF 競技で鍛える “勝手に育つ” エコシステム
2020 DX × IaC × DevOps “NetDevOps”がメインストリームへ
2021 クラウドネイティブ & 可観測性 API 連携で運用負荷を劇的削減
2023 インテントベース & AI/ML どこに・いつ技術を当てはめるかが論点に
2024 GitHub Copilot & 自律チーム 社内 DevSecOps 文化が市民権を獲得
2025 生成AI × AIOps 常時可視化と予兆検知が当たり前に

Photo by Emile Perron on Unsplash

Share

Latest Posts

SDNをきっかけに見えたエンジニア育成の未来
SDNをきっかけに見えたエンジニア育成の未来

SDN 登場から スキルギャップの危機感 が顕在化してエンジニアの学び場は、危機感を出発点に、クラウドネイティブ、DevOps、そして生成 AI・AIOps へと舞台を移してきました。ここでは、Interop Tokyo で蓄積された育成ノウハウと市場動向をまとめて、ONICが提供する次のフィールドへと展望します。

ONICとShowNetの関わり
ONICとShowNetの関わり

ONICにおけるShowNetセッションは定番となりつつありますが、その歴史を振り返るとSDN Japan時代の2013年から始まっています。 この記事ではその取り組みについて振り返ってみたいと思います。

ネットワークの抽象化の先に見えたもの
ネットワークの抽象化の先に見えたもの

3月と4月のblogで、SDN Japan時代からこれまでの歴史について少し触れました。 ONICの実行委員はみんな、ちょうどSDNという技術が出てきた時、まさにその時に、各社でそのSDNをやっていた(やり始めた、が正しいかも)のが今の実行委員なのです。 そのため、ネットワークの話題が多いのは、実行委員の顔ぶれを見ても、ONICの名前からしても違和感がないと思います。 そして、ネットワークを抽象化するために何が必要で、動かすときの肝は何か、そしてどうやって運用していくのか、皆さんがそれぞれの現場で得た知見を共有することを目的に技術を議論してきました。 つまりネットワークオリエンテッドな場であったわけです。